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この研究では、進行した慢性腎臓病の患者さんたちに対する有効な治療法を見いだし、透析・腎移植といった腎代替療法が必要となる患者さんの減少を少しでも実現することを第一の目標としております。未だ年々透析を要する慢性腎不全の患者さんたちは増加し続けております。またこの分野での有効な治療法に関する良質な大規模臨床研究がきわめて限られており、エビデンスのある治療法がほとんどありません。また慢性腎臓病の患者さんたちは心筋梗塞、脳卒中と言った心臓血管病の発症リスクがきわめて高い事も知られております。それ以外にも骨関節合併症、動脈硬化といった様々な合併症併発が知られております。このような慢性腎臓病に由来する様々な合併症発症を減らすことも重要です。第3に、我が国の腎代替療法の適切な治療法選択について検討することがあげられます。日本では、腎代替療法を受ける患者の約3%がCAPD,5%が腎移植でその大半が血液透析をうけております。この比率が将来に渡ってわが国の腎不全医療として適切なのかの検証を行います。第4に検診データ、我が国の疫学データの海外との比較により、適切な早期診断、治療法を検討すること、また日本の診療パターンが医療経済的にどの程度有効で、有用なものなのか、国際比較で検証を試みる予定です。われわれはこれらの治験等をもとに新たな治療法開発に関する臨床研究を提案することが第5の目標です。そして最終的にはこれらの事実をもとに、最良の治療法を総括する進行した慢性腎臓病に対する診療ガイドラインを作成、更新していくことにあります。
私たちは、平成18年より、慢性腎臓病重症化予防のための戦略研究(FROM-J)をとおして、かかりつけ医、コメディカルとの協力による医療システムの有効性、有用性を検証してきました。いわゆる軽症例の慢性腎臓病に対する、腎機能悪化抑制や心臓血管病発症抑制については、これらの医療協力、医療連携の有用性が明らかとなってきました。しかしながら、腎臓専門医が診療の主役となる進行した慢性腎臓病については、確たるエビデンスのある治療法が極めて限られており、このためのエビデンスの創設、ならび診療のガイドラインを完成させ、腎臓専門医のための慢性腎臓病対策を完成させることです。このホームページでは、可能な限りこれらの情報を逐一皆様にお伝えし、またご意見をお寄せいただければ幸いです。慢性腎臓病の重症化予防の実現のため、皆様のご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。
研究代表者 山縣邦弘
(筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学)